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画面の向こう側の麻帆の表情を勝手に想像して胸が痛くなった。
いつもなら
「電話の方が話早いから」
と電話をかけてくるだろうタイミングになっても結局、麻帆からの着信はなかった。
「また明日、大学で」
その言葉に
「またね」
と返事をすると、私はメッセージの画面を閉じた。
少し考えて、アルバムの画面をくるくるとスクロールする。
どこまで行っても麻帆の写真。
ずっと一緒にいたのに、私は何も知らなかった。
“麻帆以外の人に心を許してない”
“麻帆の前だけで本当の笑顔を見せられる”
そう思っていた私の前で、麻帆は本気で笑ってくれていたんだろうか。
陽太のときのように……心を許してくれているというのは私のうぬぼれだったんじゃないか。
そんな不安が心の中に渦巻いた。
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