降り注ぐ雨のように

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翌日、それぞれ別の講義に出席していた私と麻帆はカフェテラスで落ち合うことになった。 「恵!」 と声が聞こえた先を見つめると軽く手をあげ手招きをする麻帆が見えた。 急いで傍によると、彼女は 「お疲れ」 と笑顔を向けた。 笑った顔を見られただけで少しほっとする。 安堵が混じった笑顔を返し 「ちょっと飲み物買って来るね」 と私が席を離れようとすると 「あっ、やっぱりいたー」 と聞き覚えのある声が響いた。 「風吹くん!」 笑顔で声を上げた私とは対照的に麻帆は 「出た……」 とどんよりとした表情で声を発した。 「相変わらず、麻帆ちゃんは冷たいなー。あめちゃんみたいにスマイル、スマイル!」 と風吹くんはいつもの調子で言い、 「あなたには安売りしないわ」 と麻帆は冷ややかに言葉を返した。
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