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「やっぱりね……」
確信に変わったように言った麻帆に私は、小さな声で
「なんで?」
と聞くことしかできなかった。
「私たちが行かなかった同窓会。そこで話題に出たんだって、恵のことが。陽太が引きこもりになったことを私に話した“親切な同級生”が“わざわざ”教えてくれた。クラスの子のお父さんがタクシーの運転手で、恵っぽい子を乗せたって言ってるって。それも陽太の家の近くで降ろしたって」
麻帆のとげのある言い方に私は心が張り裂けるような気持ちになった。
陽太のことまで、知られてしまった。
麻帆にだけじゃなくて、クラスメートにまで。
唇をかみしめた私に
「いったいどういうこと?陽太と会ってるの?」
と聞いた麻帆の言葉は、もう否定する余地など与えてくれてはいなかった。
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