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「だから、そんな冗談は……」
「冗談じゃないよ。本気だよ。あっ、でも待って。俺、結構役に入り込んじゃうところあるからそのせいかな?よくあるんだよね。演じている間だけ、感情移入して好きになっちゃう、みたいなやつ」
自分を分析するようにそう言った彼を見て私は大きくため息をついた。
「ごめん。私も今日は帰る」
「えっ?」
「風吹くんって、もっと大人な人だと思ってた」
がっかりしたように言った私の言葉に一度ぽかーんと口を大きく開けた彼は、その後ふっと笑い
「それは、あめちゃんの思い込みだね」
と穏やかな声で言った。
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