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高校受験に失敗した私は、最初の1年こそ糸の切れた風船のようにふらふらと過ごしていたが、モデルの仕事を始めてからは
「誰かの目標となる人でなくてはいけない」
という妙な義務感が働き、急ピッチで大学受験に取り組んだ。
ギリギリのところで麻帆と同じ大学に入学できたはいいものの、レポート一つとってもその出来は麻帆と雲泥の差だ。
「がんばって。恵はやればできる子!」
「麻帆、本当にお姉ちゃんみたいだね」
苦笑いを浮かべた私は、
「すいませーん!」
と店員を呼ぶことで話を逸らすことに成功した。
カフェラテを注文した後
「写真撮ろう」
と麻帆に声をかけると、彼女は鏡を取りだし髪の毛を整えた後
「よしOK!」
とカメラに目を向けた。
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