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「どうしよう……風吹くんもわけわかんないこと言ってるしさ」
「あのイケメンに好かれるなんてすごいじゃん。いっそのこと付き合っちゃえば?」
「変なこと言わないで。彼と付き合ってないことを証明するために映画やることになったのに、そんなの意味わからないじゃん」
そこまで言って、私はじっと陽太を見つめた。
「何だよ?」
「陽太はさ、全然嫌じゃないんだね」
「何が?」
「私と、風吹くんが付き合っても」
「何で?」
「いや、男の人ってあるっていうじゃん。独占欲っていうか、自分を好きになった人は一生自分を好きなはず、みたいな」
私の言葉を陽太はふっと鼻で笑った。
「俺はそんなこと一度も思ったことない。現に俺に告白した人は2~3か月もすれば別の誰かの話をしてた。女は切り替えが早いもんだと俺は思ってる。あっ、あめくらいだな」
「えっ?」
「俺が振った後も、誰かを好きになったって話聞かなかったの」
陽太はさらっと言うけれどそれは、私がそれだけ陽太のことが好きで他の人を好きになることなんて想像もできなかったからだ。
……と言ったところで話がややこしくなるだけなので、私はぐっとその思いを飲み込んだ。
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