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「えっ?」
「ほら俺、女子と話すの苦手だったから。っていうか今もたぶん苦手だ。女子が周りにいないから分からないけど。でも……あめは平気だ。女子だって思っても平気。むしろあの頃より、何でも話せる気さえする」
素直に嬉しいと思った。
少しずつ心を許してくれていることは肌で感じていたけれど、言葉にされると良いものだ。
「それはきっと私が変わったからじゃなくて、陽太が変わったからだよ」
「俺が……?」
「うん。陽太、私が髪を切った日から比べるとすごく表情が柔らかくなった。それに、ケガした時だって、お父さんからお母さんをかばおうとしたんじゃない?」
その言葉に陽太ははっとした表情で私を見つめた。
「聞いたよ。お父さんがお母さんを突き飛ばした瞬間に、陽太がお父さんを押したって。昔の陽太なら、そんなことしなかったんじゃない?それが当たり前の光景だって思ってたんじゃないかな」
その言葉に、陽太は確かにというようにうなずいた。
「少しずつお母さんのこと大事に思うようになって、陽太の中の、女の人への見方も自然に変わってきてるんじゃないかな?」
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