雲間から見える光

5/18
前へ
/359ページ
次へ
「えっ?」 「ほら俺、女子と話すの苦手だったから。っていうか今もたぶん苦手だ。女子が周りにいないから分からないけど。でも……あめは平気だ。女子だって思っても平気。むしろあの頃より、何でも話せる気さえする」 素直に嬉しいと思った。 少しずつ心を許してくれていることは肌で感じていたけれど、言葉にされると良いものだ。 「それはきっと私が変わったからじゃなくて、陽太が変わったからだよ」 「俺が……?」 「うん。陽太、私が髪を切った日から比べるとすごく表情が柔らかくなった。それに、ケガした時だって、お父さんからお母さんをかばおうとしたんじゃない?」 その言葉に陽太ははっとした表情で私を見つめた。 「聞いたよ。お父さんがお母さんを突き飛ばした瞬間に、陽太がお父さんを押したって。昔の陽太なら、そんなことしなかったんじゃない?それが当たり前の光景だって思ってたんじゃないかな」 その言葉に、陽太は確かにというようにうなずいた。 「少しずつお母さんのこと大事に思うようになって、陽太の中の、女の人への見方も自然に変わってきてるんじゃないかな?」
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

351人が本棚に入れています
本棚に追加