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「あめ……たまにすっごくいいこと言うな」
「たまには余計」
陽太の足すれすれを狙ってポスっと布団を叩くと、陽太は慌てたように
「こっちはけが人だぞ」
と口を尖らせた。
思わず笑った瞬間、ガラッとドアが開く音が聞こえ、私と陽太は同時に扉を見つめた。
「あら、お客さん?」
20代半ばだろうか。
笑顔で入ってきたその女性にペコリと頭を下げると、彼女も同じように笑顔で私に頭を下げた。
「えっと……」
様子をうかがうように陽太の顔を見ると
「看護師の日下さん。こっちは友達のあめ」
と彼は動じることなく私に伝えた。
看護師?
この高いピンヒールにミニスカートのお姉さんが?
きょとんとする私を横目に彼女は
「今から帰るところなの。その前に、はい。頼まれてた飴」
と陽太に袋を差し出した。
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