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見覚えのあるパッケージと、陽太の顔を私は交互に見比べた。
「ありがとう。助かる。母さんもなかなか来れないから」
「ううん。あっ、でもこれは秘密ね。師長にばれたら怒られるから」
そう言って彼女は口元に手をあてて微笑んだ。
その後、ちらりと私を見た彼女は
「あれ?……あー!あめちゃんって、あのあめちゃん?」
と弾んだ声で言った。
「えっと……」
「あれ、もしかして二人、付き合ってるの?」
小さな声でそう言った彼女に陽太は即座に
「ただの友達。日下さん、変な噂流さないでよ」
と言葉を返した。
その通りだけど、あまりにも断定的に言われると不満が生まれる自分がいる。
困った顔で見つめる私の気持ちを汲んだのか汲んでいないのか、
「そんな噂流したりしないよー。じゃあ私、帰るね。ごゆっくり」
と言って、彼女は病室を出て行った。
ごゆっくり……って、ここはあなたの家か!
と突っ込みそうになるのを抑え、私は陽太の方を向いた。
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