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「まぁ私たち会いたい人もいないしね」
笑顔を向けた私に麻帆は
「でも私たちに会いたい人はいる」
と眉間にしわを寄せた。
「えっ?」
「みんな知ってるの。私と恵がモデルやってるって」
「あぁ……」
人間とは実に都合が良い生き物だ。
私にとって苦い思い出しかないあのクラスの人たちはモデルになった私と麻帆に会いたいのだという。
会ってどうするのだろうか。
「俺がからかっていた女の子は、実はあめちゃんなんだよ」
とでもいうのだろうか。
いや、そんなバカはいない。きっとこうだ。
「俺、モデルのまほあめと同じクラスでさ。結構話してたんだよ」
んー考えただけで腹が立ってきた。
ストローをギュッとつぶした私を見て麻帆は
「恵、苛立ち漏れてる」
と笑った。
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