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母の姿を見送った後、靴をそろえてリビングに入った私は、
「はぁ~」
と大きな声をあげ、ソファーに大きくダイブを決めた。
「やめろよ。お前の重みでソファーが死ぬ」
聞こえた声にむっとなり、顔をそちら側に向けるとダイニングテーブルの椅子に腰をかけてゲームをしている兄の姿が見えた。
「お兄ちゃんいたんだ。っていうかお兄ちゃんは年がら年中家の中か」
「俺はお前と違って外で日光を浴びながら笑顔をふりまく趣味がないからな」
軽い嫌味は兄の得意分野だ。
ゲーム機のボタンを連打する兄の姿を見て、私はふーと息を吐いた。
まだ社会人になって数年の兄は仕事の日以外はほとんど外に出ず、家でゲームをするのが日課だ。
お気に入りのゲームの新作が出た時は、大量の食料を買い込み有給を使って部屋にこもる。
私はいつしかすっかりゲームもやらなくなってしまったが、兄のゲームへの熱意は永久に消えることはないだろう。
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