陽のあたる方へ

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既に私から興味を失っている兄から視線を移した私は、ソファー前のテーブルに郵便物の束を発見した。だらしなく寝そべっていた体を起こし、その束を一枚ずつ確認すると “同窓会のお知らせ” という文字が目に入った。 そういうえば、手紙が来てると言っていたっけ……。 その時ふっと私は麻帆の言葉を思い出した。 『晴山陽太が引きこもりになったらしい』 “引きこもる”と言えば、ゲームに熱中した兄もその傾向はあるけれど……。 ちらりと兄の姿を見ても、あちらはこちらの視線に気づく様子は全くなくひたすらに指を動かしている。 きっと、麻帆が言っていた陽太の現状は、この場合の引きこもるとは異なるものだろう。 私は改めてはがきを見つめなおした。 「はー良かった。ありがとね、恵」 洗濯物の片づけ終え安心しただろう母は、私に笑顔を向けた。
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