陽のあたる方へ

11/42
前へ
/359ページ
次へ
「あの……!」 引き留めるように声をかけると彼女はため息をついてから 「はい……?」 と私を見た。 「私、晴山くんの……陽太くんの同級生で!」 何をいっているんだろう。 私はバカなんだろうか。 口をついて出た言葉に私は自ら苦笑いを浮かべた後唇を噛んだ。 「……いつの?」 「えっ?」 「いつの同級生?」 「あっ、中学三年間同じクラスで」 やはり私のことを覚えていないようだ。 ……いや、私だと気づいていない可能性もある。 この4年で自分が大きく変わったことを思い出した私は、少しでも「見たこともない同級生」という怪しさを取り除こうと愛想笑いを浮かべた。 それでも、彼女の表情が朗らかになることはなかった。
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

347人が本棚に入れています
本棚に追加