陽のあたる方へ

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「わかりました。約束します」 私は大きくうなずき再びティーカップの紅茶に口をつけると、ふーっと息を吐き 「じゃあ……行ってきます」 とリビングを出た。 階段を一段ずつのぼる足は、なぜか意味もなく音を立てないように慎重になった。 ようやく最後の段をのぼり終えた後、私は目の前の部屋を見つめ呼吸を整えるとこんこんっと二回ドアを叩いた。 しかし中から反応が返ってくる様子は感じられなかった。 もう一度叩いてみる。 それでもリアクションはない。 本当にいるんだろうか……。 少しだけ不安な気持ちはあったものの私は、ドアに手をあて 「あの……。陽太……」 と声をかけた。
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