陽のあたる方へ

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妙に冷静にそんなことを考えた後、体を起こそうとした私は、再び頭の痛みを感じそのままの体勢を保つことにした。 頭上にしゃがみこんだ陽太は私の顔を覗き込んだまま 「満足か?」 と問いかけた。 「えっ?」 「自分を振って、周りからからかわれているのを放置するような最低な男。そんな男を見返そうと思って、モデルになった。その最低な男は、地に落ちた」 冷静に分析するようにそう言った陽太は 「もうこれだけで笑えるだろ。それで満足したなら帰ってくれ」 と私から体を離し、再び部屋の奥へと戻っていった。 私はゆっくりと体を起こし、陽太の方を見つめた。 部屋の中はカーテンもしめっぱなしでうす暗かった。 うっすら見える部屋の景色は思ったよりも片付いているという印象だったが、それも足の踏み場はある程度、というのが正しい感じで決して綺麗だとは言えない状況だった。
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