陽のあたる方へ

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しばらくの沈黙の後、目を開けた彼は 「何をしてるの?」 と言って私の顔を見つめた。 私の手に握られた髪の毛の束を見つめた後、自分の顔に落ちる髪を払いのけた彼は、体から私を引き離すように起き上がり、行き場を失った私はベッドの端に座った。 「ひっでぇ……」 ベッドに広がる髪の毛を見て、ため息をついた陽太は立ち上がり、洋服にも残る髪の毛をパンパンっと払った後、部屋のドアの方へ向かった。 出ていくのだろうかと思った私の心とは裏腹に彼はばたんっとドアを閉め 「たぶん、さっきの騒ぎで上がってくる」 と部屋の下を指さした。
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