太陽のような人

5/9

347人が本棚に入れています
本棚に追加
/359ページ
もうここまで来れば、あとは告白だけ。 タイミングの問題だ。 ミーンミンミン……。 ほらっ、セミたちも応援してくれている。 どこまでもポジティブだった私は、その声に背中を押されるような気分で言葉を発した。 「陽太。私と付き合ってください」 今考えれば、よくもまぁ、あんなにも自信満々だったなと思える。 私は断られるなんて選択肢すら除外していたのだ。 ペコリと下げた頭を上げ、彼に微笑みかけた瞬間、私は初めて異変に気付いた。 冷ややかな目。 しっかりと結ばれた口。 ピタリと止まるシャツを握る手。 さすがの私でも、すぐに気づいた。 “飲み込みたい” さきほど吐き出した言葉をもう一度、体内に入れる術があるならそうしたい。 そう思った矢先に彼から出た言葉は 「いや、ないだろ」 の一言だった。
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

347人が本棚に入れています
本棚に追加