陽のあたる方へ

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陽太はふーっとため息をついた後、傍の棚からごみ袋を取り出すと、ベッドの上の髪の毛をかき集め、袋の中に捨てた。 その後カーペットクリーナーに手をかけた彼は、ベッドの上でそれを回転させると、紙をはぎ、同じ袋に投げ入れた。 意外と綺麗好き? 首を傾げた私の様子に気づいた彼は 「座れば」 と冷たく言い放ち、近くの荷物を端に寄せた後、自分も床に腰を掛けた。 私も恐る恐るその場に座り込むと、陽太は再びため息をつき 「最悪」 と言いながら、ちぐはぐな長さで短くなった前髪を触った。 「ごめん……」 そう口にした後、私は手に持ったはさみを見つめ 「ゴミ袋、まだある?あと、鏡」 と彼に問いかけた。
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