陽のあたる方へ

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陽太はきょろきょろと周りを見渡して、ふっと彼の椅子の下に目が行った。 先輩のお尻のあたりに自分のスマホのケースらしきものが見えた、 「あっ、そこですか!」 自分でもなさけないくらいヘラヘラと笑い、陽太は先輩のお尻の辺りに手を当てた。 「何すんだよー」 笑って言った先輩に 「返してください」 と苦笑いを浮かべても先輩が椅子からお尻を浮かすことはなかった。 その時、練習を終えた部員が次々に部室に入ってきた。 「陽太、何やってるんだ?」 友達の声が耳に入り、陽太は 「えっと……」 と言い淀んだ。すると先輩は 「陽太が俺の体に触ろうとしてくるんだよ。やべーよな」 と笑った。 それを聞いた友人も傍にいた先輩も、一瞬の沈黙の後、パラパラとつられるように笑い始めた。
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