陽のあたる方へ

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「陽太、それはやべーよ!」 部室全体に広がる笑い声に顔が熱くなるのが分かった。 「違います!返してください!」 思わず先輩を突き飛ばし、椅子の上のスマホを引き抜いた。 「これ!これを返して欲しかっただけで……」 そう言って周りを見渡した時、誰も陽太の方を見てはいなかった。 皆の視線を追った陽太はそこで、大げさに腰を触る先輩の姿を見た。 「いって……」 「大丈夫ですか?」 そう言って駆け寄った陽太に、先輩は 「お前最低だな。暴力振るうなんて」 と言ってにらみつけた後 「俺に恨みでもあるの?いいよなーお前は。きっとこうやってひどいことしても弁護士のお父さんが助けてくれるんだろ?」 とバカにしたように笑った。
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