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かっとなった。
気が付いたら、先輩に馬乗りになり、顔を思いっきり殴っていた。
部員たちに止められた時、陽太の手も真っ赤になっていた。
翌日、親に学校から呼び出しがかかった。
母親が今にも泣きそうな顔で陽太の隣に座っている一方で、向かい側には怒りの表情でこちらをにらみつける先輩とその両親が座っていた。
その時陽太は初めて彼の父親が、教育委員会のトップを務めていると知った。
「お父さんが助けてくれるんだろ」
あの言葉は、自分自身の経験から出てきた言葉なのだと、陽太はその時初めて悟った。
そして案の定、息子の将来に傷をつけたくないと遠まわしに語ったその人は、陽太を見て
「こちらのしたことをなかったことにしてくれたら、3日間の停学で済ませられそうだけど、どうだろう」
と平気で言いのけた。
きっと母は冗談じゃないと怒ってくれる。
そう思って母親を見つめた陽太は、ほっとしたようにうなずいた姿を見て絶望した。
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