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思わずドキッとして表情を止めた私に彼ははっとしたように
「俺の髪型の話だからな」
と続けた。
そうか、そうだよね。
私ったらとんだ勘違いを……。
「分かってる!」
と言ってうつむいた時、陽太の耳が少し赤くなっているのに気づき、私の顔もほんのり熱くなった。
それをごまかすように
「髪は記憶を宿すっていうから。きっとこれで、その先輩との記憶も縁も切れた」
と私が言うと、彼は
「だといいけど」
とたいして信じてもいないように笑った。
髪を切り終えた私は、彼をベッドの上に座らせ、床に敷かれたごみ袋を片付けた。
その間、鏡とにらめっこをしていた陽太はどこか表情が明るく見えた。
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