雨色のキャンディー

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雨色のキャンディー

「はいっ、そのまま何カットかもらえるかな。あーいいね」 スタジオに響くシャッター音に合わせ、表情を変えていく。 「じゃあ、今度は少しくっついてもらえる?」 カメラマンの指示通り、傍に寄った麻帆と私は、自然と体を寄せて笑顔を浮かべた。 ティーン誌の頃も含めて、二人で表紙を飾るのはこれで四回目。 編集者曰く、私たちが並んだ表紙はよく売れるらしく、ここぞという時に二人をそろえるらしい。 「さすが息ぴったりですね」 「二人とも、普段から仲が良いからこちらもいろいろお願いしやすくて助かります」 後ろの方から聞こえるそんな声に私たちは目を見合わせて微笑んだ。 「はい!ではちょっと休憩入れましょうか」 その声に従い、カメラの前を離れた私たちは、スマホを取り出し顔を寄せた。 「今日は、麻帆と一緒に撮影だよ……と、よし」
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