雨色のキャンディー

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SNSの世界に流れた写真を見届け、私たちは休憩用に設けられたスペースに座った。 「恵、明日暇?昨日、坂巻さんに会って展示会のハガキもらったんだけど一緒に行く?恵にも渡しといてって」 私と麻帆についているマネージャーの坂巻さんは、事務所で1・2を争う敏腕マネージャーだ。坂巻さん自身もモデルをやっていた経験があるようで、その姿は美人というだけにとどまらない独特のオーラをまとっている。その雰囲気は、時に威圧的にも見えるが、情に厚く優しい人だ。 私たち以上の売れっ子モデルを多数担当しているので、現場にはなかなかやってこないが、私たちに困ったことがあるとすぐに駆け付けてくれる頼りになる人だ。 「えー私も坂巻さんに会いたかった」 麻帆から受け取ったハガキをひらひらと揺らした後、私はその項目を見て、んーと頭を悩ませた。 「やっぱり……明日はやめとく」 「そう?珍しいね。何かあるの?」
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