太陽のような人

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その通りだと思った。 彼にとって、私は単なる“男友達と同じくらい気兼ねなく遊べる友達”だったのだ。 私は他の女の子とは違い、美容にもファッションにも恋バナにも興味がなく、多少ぽっちゃりした体型も毎日寝癖がついた髪もさして気にしてはいなかった。 趣味と言えばお兄ちゃんの買ったロールプレイングゲームをやることと、おさがりの漫画を読むことくらいで、流行のアプリや少女漫画の情報は一切知らないまま育った。 そして彼は最初から私に、恋とか愛とかそんなことは求めていなかったのだ。 ただ私がそういう類のオーラを一切放出しないタイプの人間だったから、傍にいてくれただけだ。 それっきり、私は卒業するまで彼と一言も会話をすることがなかった。 その上、失恋のショックで勉強に手が付かず第一志望の高校に落ちる始末だ。 あの夏の日の出来事は私の人生を変えた。 史上最悪の一日だった。
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