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翌日、朝早く家を出た私は電車に揺られ、地元の最寄り駅に到着した。
地元に戻る時、実家に連絡をしないのは初めてのことだった。
なんせ、前回帰ってきた時から一週間しかたっていない。さすがの母も怪しむだろう。
陽太の状況は、むやみやたらに広まってほしくない。
そう思った私は、誰にも伝えることなくこの街にやってきた。
深く帽子をかぶった私は、途中すれ違う人たちに目もくれずに、ただ彼の家を目指した。
彼の家の前に立ってチャイムを押す。
以前のように手が震えたりはしなかった。
少し待ってみてもリアクションは帰ってこない。
留守だろうか……。
いや、でも陽太はいるはず。
もう一度チャイムを鳴らした後、私はじっと陽太の部屋を見つめた。
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