雨色のキャンディー

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カーテンがほんの少し揺れたような気がした。 やっぱりいる……。 私はむきになって、もう一度チャイムを鳴らした。 さすがにお母さんがいるならそろそろ出てくるだろう……。 しかし、中から人が出てくる気配は一切なかった。 ピンポン、ピンポン、ピンポーン。 もう、意地になっていた。 これでお母さんに怒られた時は怒られた時だ。 やけくそのようにチャイムを押し続けると、二階のカーテンがシャッと開き、中からこちらをにらみつける陽太の姿が見えた。 思いっきり手を振った私を見て、陽太はため息をつき親指を突き出し、その指をぐっと自分の方に引き寄せるような仕草をした。 入っていいってことかな……? でも鍵……。
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