雨色のキャンディー

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ゴミ袋を差し出した私から渋々それを受け取った陽太は、面倒くさそうに床に散乱したものを袋に入れ始めた。 その様子を確認した後、私は陽太が動き出したのと反対側の隅から部屋の片づけを始めた。 「これはゴミ、これもゴミ……」 ぽいぽいっとゴミ袋に詰め込んでいく私を見て陽太は不安げな表情を浮かべた。 「お前、何でもかんでも捨てるなよ?」 「大丈夫。分からないものがあったらちゃんと陽太に聞くから」 「本当かよ……」 不安げにこちらの様子をうかがいながら、作業を進める陽太は私の 「あっ!」 という声に驚いた様子でこちらを見た。 「何かあった?」 「なんでこんなところに転がってるの……」 「テーブルの上に置いてたのが転がったんだろ」 私が呆れたように掴んだ個包装の飴玉を見て、陽太はたいしたことじゃないという風に視線を逸らした。
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