雨色のキャンディー

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「えっ?」 こちらを見た陽太に、私は 「覚えてる。昔、そう言ったの。陽太が」 と続けた。 眉間にしわを寄せ首を傾げた彼に 「覚えてないよね」 と笑いかけ、私は当時の話を始めた。 陽太と私は、よく学校の帰り道を二人で歩いて帰った。 「智樹、彼女と別れたんだって」 「えっ?あんなに仲良かったのに?」 驚いたように言った私に、陽太は 「赤い糸がどうの、言ってたのにな」 と呆れたようにため息をついた。クラスメイトの智樹が彼女と別れるのはそれが三度目のことだった。 彼女ができるたび、運命の赤い糸が……と語っていた智樹の話を、陽太は興味なさげに聞いては、あいまいな相槌を返していた。 だからその時も、智樹の失恋にはさして興味がない様子で、単なる話題の一つに過ぎない、という様子だった。
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