雨色のキャンディー

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「赤い糸かー……」 そうつぶやいた私に陽太は 「あっ、飴食べる?」 と話を変えた。 うなずいた後手にした飴は赤色のイチゴ味だった。 「今日は、あめの飴ないや」 申し訳なさそうに言った陽太に 「イチゴも好きだよ」 と言って口に含むと彼は 「赤い糸って飴でできてるんじゃないかな」 とつぶやいたんだ。 「どういうこと?」 包装紙を折りたたみながら口の中に広がる甘さをかみしめる私に彼は言った。 「飴ってさ熱いとすごい伸びるじゃん?」 陽太の言葉で私は、真っ赤な飴が思いっきり伸ばされている姿を想像した。
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