雨色のキャンディー

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「うん。確かに」 「蜘蛛の糸みたいにふわふわしてる飴もあるだろ。ほらっ、綿菓子もそうだけど」 「あるある!」 感動混じりにそう言った私の反応とは対照的に陽太は、ため息をつくように続けた。 「もしも赤い糸が飴でできてたらさ。熱いうちはどこまでも伸びてさ、ふわふわしてて甘くて、色もなんだか輝いてすごく幸せかもしれない」 「そうかもしれないね」 「でも冷えたらもろくて簡単に割れるし、熱すぎてもベタベタでがんじがらめだ。そもそも口に含んだらあっという間に消えてなくなる。」 「なるほど……」 昔から陽太は、頭の良い人だった。 私が想像しないような世界の話をする人だ。 私がただ甘くてかわいいと想像したような世界ではない。 彼の語る世界はどこか悲しい。
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