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「ねぇ、陽太、今すっごいひどいこと言ってる自覚ある?」
「あっ……うん。ごめん」
「いや、うん。4年越しで陽太の気持ちが分かったのは良かったような気もするけど……なんか複雑」
ため息をついた私を見て陽太は申し訳なさそうにうつむいた。
「陽太はさ、ずっと人の悪意に触れたことがなかったってこの間言ってたけど、お母さんはずっと目の前でその悪意に触れてたんだよ」
「うん……」
「きっと苦しかったと思うし、今も苦しんでると思う。お父さんだけじゃなくて、陽太にもひどいこと言われて」
「説教……?」
少し不安げに、そして小さな不快感も見え隠れする目で陽太は私を見た。
「怒ってるとかじゃなくて。んー……陽太、私、全然だめだった」
「えっ?」
「陽太のこと全然わかってなかった」
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