雨色のキャンディー

19/26
前へ
/359ページ
次へ
「何言ってるの?」 首を傾げた陽太に私は飴玉を投げつけた。 慌ててそれをキャッチした陽太の目を見据え私は言った。 「私が、陽太に教えてあげる。人を好きになる気持ちも、大事にする気持ちも。世の中の苦しいことも、悲しいことも。私がちゃんと教えてあげる」 「そんなこと……」 望んでないよ、そう言いたげな陽太の言葉を阻み私は強く宣言した。 「陽太が望んでなくても、私は陽太にちゃんと生きて、ちゃんと幸せになってもらわないと困る!」 「なんで……?」 「陽太が幸せになったのを確認しないと、私も幸せになれないから!!」 思わず言ったその言葉に、私ははっとして彼を見つめた。 明らかに戸惑っている。 またやってしまった……。すぐに感情的になるのは私の悪いところだ。
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

347人が本棚に入れています
本棚に追加