雨色のキャンディー

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彼もきっと苦しかったんだ。 分からない恋と向き合うことも、自分の両親の歪んだ関係に気づくことも。 からかわれる私を見て見ぬふりしていた彼は、両親の関係も同じように見て見ぬふりをしてきたからどうしていいか分からなかったんだ。 そうすることでしか、家での居場所を見つけられなかった。 陽太のそんな気持ちを勝手に想像しただけで、私の涙はますます勢いを増してこぼれ落ちた。 おろおろと私を見つめていた陽太は立ち上がるとうろうろと部屋の中を歩き回り、机の傍でガサゴソと音を立てると私にぐっと右手を突き出した。 「何……?」 首を傾げて手を出した私に、陽太はぽんっと飴玉を置いた。 水色の包装紙。 「雨の飴。これは大丈夫。床に落ちてたやつじゃない」 真剣にそう言った陽太の姿が少しだけおかしくて私は思わず噴き出した。
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