雨色のキャンディー

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「そういうことじゃないんだけどな……」 こみあげてくる笑いに堪えられず、今度は違う意味で溢れてくる涙をぬぐった私を見て陽太は 「ごめん……俺、こういう時どうしていいかわからない。母さんも俺の前では泣かなかった」 と険しい表情を見えた。 「うん。そっか……」 私は手に握らされた飴をじっと見つめ 「ありがとう」 と一言返した後、包装紙からそれを取り出し口に含んだ。 「甘い」 そう言って私が笑った顔を見て、陽太はほっとしたように笑顔を見せた。 「やっぱり陽太は笑ってた方が良いよ」 「えっ?あぁ……俺の笑顔なんて偽物だよ。いつも作り笑いして、本気で笑ったのがいつか、もうわからない」 「作り笑いでもいいじゃない。私なんて今ずーっと作り笑いだよ」 首をかしげこちらを見た陽太に、私はニッと笑って見せた。
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