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「モデルやってると、カメラの前では笑顔を作らなくちゃいけないでしょ。どんなに嫌なことがあっても、笑うことが仕事だから。でも不思議だけど、無理やり作った笑顔でもそれを見て“元気になります”って言ってくれる人がいるの。そういうの聞くと、もう嘘とか本当とかどうでもよくなっちゃうんだよね。誰かが喜んでくれた。それで良いかって」
開き直ったようにそう言った私を見て陽太は少し悩み
「そういうもん、かな」
とつぶやいた。
「そういうもんだよ」
それ以上、私は陽太を諭すようなことを言うのを辞めた。
彼は彼なりに自分と向き合って心の整理をしている。
そこに踏み込み始めている私は、少なくても“土足で踏み込まない”くらいの配慮はしているつもりだ。
それが陽太に伝わっているかは別として……。
「さっ、じゃあ片付け再開!」
そう言った私の号令に従い、陽太はゴミ袋を抱え、てきぱきと作業を始めた。
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