雨色のキャンディー

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作業をしてしばらくして、私ははたと気づき陽太を見つめた。 「そう言えば、お母さん帰ってこないね?」 「スーパーに買い物に行くと1時間は帰ってこない」 「そうなんだ……。いつも鍵開けっぱなしなの?」 「俺がいるからね」 「そっか。信用されてるんだね」 「えっ?」 「だって、陽太、この部屋から出ないでしょ。それでも鍵を閉めないのは、いざという時は陽太がちゃんと対応してくれるって思ってるからじゃない?」 私が笑顔でそういうと陽太はため息をついて 「あめって昔から前向きというか都合よく考えるところあるよな。そんなんじゃないよ。何かあっても俺のせいだってやけになってるだけ」 と答えた。 そういうところ急にマイナス思考になるんだな。 そう思って陽太を見た私は、彼の顔が少しだけ明るくなっているのに気が付いた。 何だ……。素直じゃないだけか。 思わずこぼれそうになる笑みをこらえ、私はゴミ袋に次々と明らかにゴミと判断できるものを詰め込んだ。
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