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心を動かす風
ブブッ……。
スマホの着信に気づいた私は、ノートを書き止める手を止め、教授の目が黒板に向いているのを確認した後、そっとスマホの画面を覗いた。
「ゴミなくなった」
その言葉とともに添付された写真を見て、思わず笑みがこぼれた。
陽太の部屋を片付けた日から2日がたっていた。
あの日、家を出る前にした約束、ちゃんと守ってくれたんだ。
「いい?このゴミ袋、次私が来るときまでになくしておいて」
「えっ?これ全部?」
「そう。ちゃんとゴミ捨て場に捨てにいくのか、お母さんにお願いするのか……どちらにしても必ずちゃんと捨てること」
そう言った私の言葉に、んーと眉間にしわを寄せた陽太は、渋々というようにうなずいた。
やればできるじゃん。
陽太がきちんと約束を守ってくれたこと、そして何よりわざわざそれを私に連絡してきてくれたことに心が弾んだ。
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