心を動かす風

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「自分で捨てに行ったの?」 周りの目を盗んでこっそりと返事を返した。 「頑張ってみようと思ったけどそれは無理だった。母さんに頼んだ」 「そっか。それでも偉い!」 「母さん、驚いてた。ちょっと泣きそうでびっくりした」 「きっと嬉しかったんだよ」 そう返信を送るだけでにやけてしまう自分がいた。 “あの人”じゃなく、母さんって呼んでる。 そんな些細な変化すら、自分のことのように嬉しく感じてしまう。 あの日の帰り、無理やりでもスマホの連絡先を聞いておいて良かった。 「次行く時まで綺麗な部屋キープでね」 その言葉に陽太が 「わかった」 と返したのを確認して、私は再び黒板の文字を見つめた。
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