彼のち、引きこもり。ところによりにわか飴

心を動かす風

講義が終わって、外に出るとひそひそと周りから声が聞こえた。
「あめちゃん、久しぶりに見た」
「私、初めて。やっぱり生で見ると可愛いね」
そんな声をなるべく聞こえないふりをしてすり抜け、カフェテラスに行くと、こっちに手を振る人の姿を発見した。

「風吹くん、久しぶり」
そう言って目の前の椅子に座った私に彼は爽やかな笑顔を見せた。
「あめちゃん、久しぶり。今日は麻帆ちゃん一緒じゃないの？」
「あっ、うん。今日は撮影のはず」
「そっか、あめちゃん今日もすごく可愛い洋服着てるね」

風吹くんはいつもこうだった。
私や麻帆を見かけるといつも明るく声をかけ、可愛いね、髪型変えたね、似合ってるよなんていつも褒めてくれる。