心を動かす風

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「あめちゃんは?誰かに会いに来たの?」 「ううん。私、ここのミルクティーが好きなの。大学構内とは思えないクオリティなんだよ」 「へーそうなんだ。じゃあ、俺も今日はミルクティーにしようかな。ちょっと待ってて」 そう言って席を立った風吹くんは、しばらく歩くと 「あっ!ホットかな?」 と私に声をかけた。 思わずコクリとうなずいた私を見て彼は再び笑顔で会計へ並んだ。 本当にスマートな人だなぁ……。 その背中を見つめていると、紙のカップを二つ抱えた彼がくるりとこちらを向いた。 すたすたと歩いてくる姿に周りの女の子がちらちらと視線を送る。 そんなことを気にする素振りも見せず彼は私に 「はいっ」 とミルクティーを一つ差し出した。 「ありがとう。お金……」 財布を出そうとすると 「いいのいいの。久しぶりに会えたからおごり」 と風吹くんは私の腕をつかんでそれを制止した。
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