心を動かす風

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「それよりさ、あめちゃん今日この後時間ある?」 「えっ……まぁ、うん。今日は撮影も休みだし、講義もさっきので終わりだから」 「やった!ますます今日はついてる。ちょっとお願いがあるんだけど……」 首を傾げた私を見て彼はにやりと笑った。 何だか嫌な予感がする……。 そして、そう思った時にはたいていその予感は当たる。 次の瞬間、風吹くんは 「ここじゃなんだから、ちょっとカラオケ行こう!」 とカバンと自分の分のカップを握り、私にも立ち上がるよう促した。 流されるように荷物を抱えた私は、歩き出した彼に続いて不安を抱えたまま歩みを進めた。 「見て。あめちゃんと風吹くんだよ!」 「えー!めっちゃ絵になる!ってか……付き合ってるの?」 「えっ?風吹くんは麻帆ちゃんと付き合ってるんじゃない?」 あちらこちらから聞こえる勝手な声に私はただただおろおろしていた。
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