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第一章
「涼くん、どうしたの?」
リビングで微笑みながら涼を見ているのは、三園優斗。彼は薫の現在の恋人である。切れ長でアーモンド形の瞳が、猫のように鋭く光って涼を見ている。
ウェーブのかかった金色に近い髪は、窓から差し込む淡い光りでキラキラと光りを反射させていた。フランス人とのクウォーターである彼の容姿は、色気のあるフランス人特有のものと、幼さを残した日本人の血が交じり合って何とも言えない甘い雰囲気をかもし出している。
瞬きをする度に長い睫がパタパタと動き、色っぽい口元は妖艶に微笑んでいた。物腰の柔らかい鼻に抜ける声は優しく鼓膜をくすぐり、緑がかった瞳が艶のある揺らめきを漂わせている。
子供っぽさの抜けない涼とは対照的な雰囲気の優斗に、押され気味になりながら所在無く視線を彷徨わせた。
「ど、どうって……なにがでしょう?」
「なんだか元気がないな……って思ったんだけど」
優斗は天使の微笑で涼に笑いかけて、自分の不安が顔に出てしまっている事を知らされた。
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