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彼と似たような姿をした大学生は、たくさん歩いているのに。彼が暮らしていたアパートは、変わらない姿で存在しているのに。
そのことに気づいた瞬間、星奈はもう立っていられなくなった。
亡くなってから少し時間が経ったからこそ、はっきりと瑛一の不在を感じてしまった。彼がもう二度と帰って来ないことも、悲しいくらい理解できてしまった。
それから星奈は今のように、眠らず食事も摂らず、ただ息をしてわずかな水分を摂取するだけで生きていた。
生きているというよりも、死なずに、ただ過ごしているだけとも言える。
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