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はじまり
最悪な目覚め
「うそだろ…」
「本当だ、とりあえず俺も帰ってきたから、準備してすぐに迎えに行ってやる。お前も支度しとけよ。」
それだけを言って真人は電話を切った。
切れた電話の画面を見ながらベッドへと倒れ込んだ。
「広瀬さんが亡くなった」
いつも明るく陽気な真人とは思えないほど、
彼の口調は暗く重苦しかった。
亡くなった?七海が?電話が切れたあとに、何十回も心の中で唱えるように反復をしたが、私の頭は彼女が死んだ事実を受け入れられずにいた。
気付けば手元からスマホは無くなっており、
ベッドより少し離れた畳の上に液晶画面だけが明るく光っていた。
真人と私の家はそう遠くないので、あいつはすぐに私のところにやってくるだろう、それまでに準備をしなくてはいけない、起き上がろうと心見るもその思いとは別に、身体はいうことを聞いてくれなかった。
いや、きっとこの思いすら偽りであったかも
知れない。
整理できない気持ちを落ち着かせるために、
私はゆっくりと目を閉じた。
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