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スターリー
こちらとあちらの世界を結ぶ扉はいくつかある。
スターリーをあちらの世界に送り出し、彼女から乗り物をこちらへと送ってもらう。
届いた乗り物は二つの車輪、小さな腰掛け部分に、横に伸びた取っての付いた自転車という乗り物だった。
足を乗せる部分を回せば前に進む。
彼はこれに乗ることができる。聞かずともわたしには分かるのだ。
次に赤子に必要なもの。
これは便利よ、と送ってくれたのは紙製のオムツだった。
スターリーはあちらの世界で難なく住まいと仕事を見つけ、今ではあちらの暮らしを気に入ってさえいる。
臆病なわたしと違って、彼女はどこへ行っても生きていける。
キャロルにもそういう人になって欲しいと思う。
最後に彼とスターリーを繋ぐための携帯電話という道具が送られてきた。
なるべく家から離れた扉のある場所へそれを置いてくる役目は、ユニの弟であるルートヴィヒが引き受けてくれる。
準備は整った。
彼を迎えに行こう。
きっと一目でわたしは恋に落ちる。
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