死ぬほど愛してる続1

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あの事件からもう3日が経つ。あのあと意識を失う形で眠りに落ちた俺は眩しい太陽の光に起こされた。側には爽がベッドに腰掛けてスマホを弄っていた。俺がうまく回らない呂律で名前を呼ぶとふわりと優しく微笑んで髪を軽く梳くように撫でてくれた。その優しさが俺に過去を忘れさせた。けれどいざ、扉から出ようとすれば恐怖で体は動かないし、腰だって抜けてしまって。その時の爽の表情を俺は見ることができなかった。だから爽が俺を抱えてくれたときも、そっとベッドに降ろされたときも俺はずっと目を瞑っていた。純粋に怖かった。爽はああ言ってくれたもののもしかしたらという懸念は消えず、それがまるでもう後戻りできないとあいつに言われているようで。      「爽…。」      それでも俺は懸命に手を伸ばすことしかできなくて。爽はいつもその手をそっと握り返してくれた。ああ、この優しさに救われる。  その時軽めのノック音が部屋に鳴り響く。反射的に身体をすぼめる俺に大丈夫、と言って爽は扉に近づく。        カチャリ  
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