死ぬほど愛してる続1

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留めていた涙が今度こそせきを切ったようにあふれ出して止まらない。手でこすってもシーツの上にはシミができ、ティッシュで鼻をかんでも更に悪化する。本当に爽も爽のお母さんも優しい。本当なら俺は今頃警察にいるはずなんだ。爽の通報によって捕まったアイツの被害者として事情聴取されている筈なのに。きっと何かしら警察に行って頼んだのだろう。この部屋から一歩も出ることができない俺の精神を案じて。俺の両親には一体どう話しているのだろうか。それさえも聞いていない。けれどきっと何かしら話しているのだろう。今度爽に聞こう。  泣きすぎたせいか先程起きたばかりだというのにまた眠気が襲ってくる。その眠気に俺は抗うこともせず素直に委ねた。  扉の前で二人がそっと涙していることも知らずに。
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