死ぬほど愛してる続2

2/3

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
本当に美味しいと言葉数が減るというのは本当で。彼女のご飯はとても美味しく、この家で食べるときは無言が多かった。それに普段から食べているからか気づきたのだが、やはり彼女は見た目に反せず優しい。硬い固形物がいまだ食べられない俺のことを思ってご飯は少し水分が多めで卵は出しを多く使っているのかいつもより甘く、食べやすい。普段の俺がこの親子丼を出されたら文句の1つや2つ飛ばしていたかもしれない。だが、今はこれが最高に美味しく感じられた。俺が食べている間彼女は無言に徹していた。あまり見ているのも申し訳ないと思ったのか時折窓の外に視線を移していた。俺もふとその視界を追って窓の外を見ようとするがふっ、とその前に置かれたデジタルカレンダーに目がつく。    「あの、俺って何時間くらい寝てました?」  「一日半ぐらいかしら。一度昼に伺ったのだけれどぐっすり寝ていたから。」    やっぱり。記憶の日付と一日ずれていた理由がわかった。てか、寝すぎだろ俺。  しかし、ご飯を食べ終わった俺の皿も片付けず、彼女はここに居座る。けれど話しかけたら答えるのだ。まるで何かを話したいけれどきっかけがつかめていないような雰囲気。    「あの、俺がその…なった後ってどうなったんですか?」    一番気になっていた問。爽にきいても軽くはぐらかされ踏み込んではいけないものだと思っていた。けれど爽のお母さんはきっとそれを伝えたいのだろう。けれど爽同様とても優しいから俺を傷つけるのではなきかと懸念しているらしい。ならば、その懸念を俺が振り払ってしまえばいいのだ。  案の定、彼女は目を丸くしていたがやがてどこかすまなさそうなそれでいて安堵した表情を浮かべ話し出す。          「その、稜くんが危ない目にあってたって聞いたときにはあの人はもう警察に捕まってて。そりゃあものすごく驚いたわよ。けれどそれ以上に悔しいのか哀しいのかなんとも言えない負の感情が湧き上がっていて。あの時程息子が頼もしいと思えたことはなかったかもしれないわ。」      俺が適当に相槌を打つとまた口を開く。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加