未来からの代償

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 「そうね。実家の近くにアパートを借りようか」  アパートに引っ越して数日後、警察が来た。  母を万引きの容疑で逮捕すると言うのだ。  「ちゃんと調べたのかよ!また冤罪かも知れないだろ!」  僕は母の前に立って叫んだが警官の一人が黙って僕の足を警棒で叩いて、僕がひるんだ隙に母を連行した。  母は厳しい取り調べのせいで過労で倒れて意識が戻らなくなった。  見舞いに行って病院から出るとスマホにまた変なメールが来た。  『契約の最終段階に移ります。解約しますか?』  (そうだ。この変なメールが来てからおかしな事が起こり始めた。何だ契約って…)  僕は返信した。  『心当たりが無いけど契約って何?』  送信して一分も経たずにメールが来た。  『契約内容はこちらです。尚、解約できる期限はあと五分です』  添付資料を開くと音声が再生された。  「ハハハ、みんな死んでしまえ!こんな社会に生きて何が楽しいんだ!警察も政治家も誰も僕を助けてくれない。僕はこの世を恨みながら死んでいくんだ。それならみんな一緒に死ねばいいんだ。死んでしまえ!」  それは僕の声だった。僕が叫んでいた。泣きながら笑っていた。  (何だよこれ…)  僕は絶句した。  またメールが来た。  『解約可能期限まであと一分です』  僕は焦った。  「どうしたらいいんだ。解約!解約だ!」  急いでメールを打った。  『解約します』  送信すると同時にメールが来た。  『解約可能期限を過ぎました。実行に移します』  「おい!今送っただろ!」  僕はスマホ向かって叫んだ。メールが来た。  『解約申し込みを受け付けました。下のURLから手続きを行って下さい。』  「間に合った…」  僕は呟いてホッとした。  画面のURLをタッチしてサイトを開いた。  『本当に解約しますか?』の文字の下の『はい』ボタンを押した。  『これまでの代償の一部を返品します。どれにしますか?』  画面の『次へ』をタッチすると三つの項目が表示された。
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